付け下げの買取相場について解説!訪問着との違いとは?
着物には様々な種類があります。振袖、訪問着などという種類を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
今回は、着物の中でも訪問着と間違えやすい付け下げについて詳しくご紹介いたします。
場合によっては付け下げを着ていくと非常識に思われるシーンもありますので、事前にしっかり着物の種類を理解しておきましょう。
付け下げの特徴
まずは付け下げの特徴についてご紹介いたします。
付け下げのデザイン、家紋の数、使用する帯や小物についてもチェックしていきましょう。
付け下げのデザイン
留袖、訪問着、付け下げは着物の形自体がとても似ています。これらの種類を見分けるには、まずは柄で判断するのが一般的。
留袖には上半身に柄がありません。訪問着には上半身にも柄があります。
そして付け下げには上半身に柄があることもありますが、その描かれ方が違っています。
訪問着は袖、襟にかけて、肩から背中にかけてなど模様が縫い目をまたいでひと続きになっていますが、付け下げはこのように続いている柄にはなっていません。
また、訪問着よりも控えめでシンプル、地味な柄であることも特徴的と言えます。
訪問着と付け下げが手元にある場合はそれらを見比べてみれば一目瞭然。
付け下げか訪問着か分からない着物があるという場合は、絵柄が縫い目をまたいで繋がっているように見えるかどうかで判断するといいでしょう。
付け下げの家紋
着物の見分け方にはもう一つ、家紋の数で見分けるという方法もあります。
着物はその格が高い順番に家紋の数が多くなります。
背中、外袖、胸の合計5箇所に家紋が入っているものを五つ紋といい、黒留袖、色留袖、喪服に用いられます。
背中、外袖の合計3箇所に家紋が入っているものは三つ紋と呼ばれます。準礼服となり、色留袖などに用いられます。
そして背中に一つだけ家紋が入っているのが一つ紋。訪問着や付け下げに用いられます。
基本的に訪問着には家紋を入れることはありませんが、この一つ紋を入れることでもう少し幅広いシーンに着ていくことが可能になります。
付け下げに家紋が入れられることはまれですが、三つ紋や五つ紋が入れられることはありませんので一つの判断基準として覚えておいてくださいね。
付け下げの帯や小物
着物によって合わせる帯や小物を変える必要があります。
あまりにちぐはぐな組み合わせをしていると非常識と思われることもありますので注意しましょう。
留袖には長襦袢、半襟、帯締め、帯揚げなどは白をベースにしたものを取り入れるのが一般的です。これは<黒留袖、色留袖も同じ。
訪問着は留袖よりも自由度がアップし、着物の色や柄に合わせて半襟、帯締めなどの色、デザインを選ぶことができます。基本的に帯は袋帯のみとなりますが、それでも色やデザインを豊富な種類の中から選べるのでコーディネートの幅も広がります。
そして付け下げはさらに自由度があがります。帯は袋帯だけでなく名古屋帯でもOK。付け下げの柄が地味な場合は染め名古屋帯を取り入れても構いません。
しかし付け下げの柄、色によってはアンバランスな印象になってしまうことも多いですので、コーディネートの幅が広がる分慎重に組み合わせを考えていく必要があります。
付け下げの価格
付け下げは着物の中でも比較的安価で購入しやすいという特徴があります。振袖、留袖などの複雑で華美なデザインの着物は作るのに手間も時間もかかり、その分価格も跳ね上がります。
それに比べて訪問着、さらにあっさりとした柄の付け下げは比較的作る時間や手間も短縮でき、低価格で提供することが可能になります。
着物をたくさん着てお出かけしたい、コレクションを増やしてコーディネートに幅を持たせたいという方はまずは付け下げをいくつか揃えてみてはいかがでしょうか。
付け下げの買取相場について
付け下げは様々なシーンで着用することができますが、絹で作られている付け下げは湿気や虫食いのリスクが高く、放置しておくと状態が悪くなってしまいます。
一般家庭では頻繁に着物を日陰に干すこともできないため、その保管方法に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
そこで、着なくなった付け下げは買取をお願いするのがおすすめです。
付け下げはもともとそこまで高価な着物ではありませんので、正直買取価格もそこまで期待はできません。
よくて1万円から5万円程度でしょう。しかし有名な作家の付け下げなどは価格が跳ね上がることもありますので、売る前に一度きちんと確認しておきましょう。
ですが、振袖などと違って着る機会が多いため、中古での流通も多くなります。その分、きちんと販売ルートを確保している着物買取業者に買取を依頼すれば、高めの価格で買い取ってくれることでしょう。
買取に出す前に陰干しをしたり汚れを取り除くなどのメンテナンスをしておくことで、より高い金額で買い取ってもらうことも可能です。
虫食い、カビなどの劣化が始まってしまう前に、着なくなった付け下げは早めに売るようにしましょう。
付け下げの格・着用シーン
着物の種類によって最適なシーンがあります。選び方を間違えるとマナー違反とみなされたり恥ずかしい思いをすることになりますので、あらかじめそれぞれの着物の格や着用シーンを覚えておきましょう。
付け下げの格とは
付け下げは着物の中では一番カジュアルな略礼装のジャンルに分けられます。訪問着や紋なしの色無地と同じようなシーンで着用できますが、改まった場所へ着ていくのは避けた方が無難です。
略礼服よりもう少し改まったものが準礼服。三つ紋や一つ紋の色留袖、一つ紋の訪問着、三つ紋の色無地などがあります。
さらに正式な場所へ着ていくのに最適な正礼装には五つ紋の黒留袖、未婚女性が着る振袖、五つ紋の色留袖があります。
付け下げの着用シーン
付け下げの着用シーンとしては友人の結婚式や披露宴。入学式や卒業式などの式典。子供のお宮参りや七五三、友人間のカジュアルなパーティー、観劇、お食事会、お茶会などがおすすめです。
街着としてカジュアルに着用することもできるので、たまには着物で出かけたい、歴史的なスポットに行く際に動きやすく、汚れも気になりにくい付け下げを着ていく、という手段を選ぶこともできますよ。
正礼装の一つである紋付の黒留袖は親族、主催者として参加する結婚式に着ていくのが一般的。既婚女性が着るもので、未婚の女性は振袖を着用することが多いです。
五つ紋の入っている色染袖は未婚、既婚を問わずに結婚式などに参加する際に着用することができます。
未婚だけど振袖を着るには年齢が…と気になる方にはおすすめ。
最近では黒留袖よりも華やかな色留袖を選ぶ女性が多いようです。
訪問着は着用シーンが最も多く、紋が入っていれば結婚式、入学式、パーティー、観劇などに着ていくことが可能です。
付け下げの歴史
付け下げはどのような歴史の中で生まれたのでしょうか。
付け下げが生まれたのは第二次世界大戦時代。意外と最近ですよね。
当時、華やかな訪問着はふさわしくないとされて生産が禁止されました。
その中で派手な訪問着に変わって生まれたのが付け下げです。付け下げは先述したとおり訪問着よりもシンプルで地味なデザイン。
とは言え訪問着のように上半身にも柄を入れることができ、訪問着変わりとして社交用の着物として台頭するようになりました。
昭和30年代にはより付け下げが広まり、略礼装として定着していったと言われています。
当時はより地味なものが付け下げ、という印象がありましたが、最近では訪問着のように華やかなデザインの
付け下げも多く販売されています。
着物を多く取り扱う方でもその見分けは難しいと言われているほど。
仕立てられた状態で売られているのが訪問着、反物の状態で売られているのが付け下げ、という見分け方をする方もいます。
とは言え訪問着、付け下げの区別は曖昧な部分も多く、現在ではそれほど口うるさく言われることもありません。
着用シーンの幅も広いのであまり高齢の方、着物に詳しい方がいない場所にはどちらを着ていっても大丈夫と言われることも多いです。
まとめ
着物の種類の一つ、付け下げについてご紹介いたしました。
振袖、留袖、訪問着など着物には様々な種類がありますが、中でも付け下げはカジュアルに着られるということで人気があります。
着物をもっと普段の生活に取り入れたい方や、安価な着物で着付けの勉強をしたいという方などは、付け下げをぜひチェックしてみてください。
元が安価な分買取価格が高くなることはありませんが、中古の付け下げならより手頃な価格で購入することができますよ。